なんで先攻?

 

  • 「はじめに」

 

 ポケモンカードゲームは先攻有利。

 

 と、いうのは広く言われていることですが、なぜかを説明できる方、実はけっこう少ないんじゃないでしょうか。

 

 「自分より強い人がそう言っていたから」とか「強い人はみんなそうしているから」とか、そういう面、ありませんか?

 

 このコラムは、そういう「先攻有利なのはわかってるんだけど、なんでと言われたらちょっと言いよどむ」方たちが、「なんで先攻?」と聞かれたとき、その答えを話す一助になればいいなと思って書きました。

 

 さて、では先攻が有利な理由を説明する前に、まずはポケモンカード検索で「先攻プレイヤー」と検索してみてください。スタンダードレギュレーションでけっこうです。

 しましたか?

 先攻プレイヤーのときのみ、特別で強力な効果を発揮するカードがヒットするはずです。

 何種類のカードがヒットしたでしょうか。

 私がこの文章を書いているときは、「ヤミラミ」と「フェローチェGX」の2種類のみがヒットします。

 

 次に「後攻プレイヤー」で検索してみてください。同じくスタンダードレギュレーション。

 なんか14種類くらいヒットしました。

 これらが後攻プレイヤーのときのみ、特別で強力な効果を発揮するカードたちです。

 

 この差が示すものこそが、「後攻プレイヤーの不利」です。

 先攻が有利だから、後攻からその差を覆そうとするカードが数多くデザインされている——とも言えます。

 そして、これらのカードデザインが教えてくれる事実はひとつ。

 

 「そもそもゲームシステムが先攻有利である」ということです。

 

  • 「先攻と後攻の差」

 

・「ワザとエネルギー」

 

 差といっても、ルール的には「ワザを使えない」しか差はありません。

 先に攻撃できるのは後攻だから、後攻のほうが強いんじゃないか、と思ったことのあるプレイヤーの方もいるんじゃないかと思います。

 

 もちろん、そういうシーンもあります。

 現環境でいえば、後攻1ターン目から「ピカチュウ&ゼクロムGX」のフルドライブでエネルギーを加速する動きは、特にミラー(同じデッキタイプ同士の戦い)において、非常に強力なプレイングです。

 が、これは「カプ・コケコ◇」の特性「せんじんのまい」と「エネルギーつけかえ」などのグッズを用いて、1ターンで盤面にエネルギーを3枚もつけられ、さらには自分自身のワザでエネルギーをさらに加速できる「ピカチュウ&ゼクロムGX」というカードを主軸にしたデッキタイプ特有の、ちょっと特殊な例です。

 

 ピカゼクのような特殊な例を除くと、基本的に後攻プレイヤーがエネルギーを手札からつけて、後攻1ターン目にワザを使うとき、盤面にはエネルギーが1枚になるはずです。

 手貼り(手札からエネルギーを自分の場のポケモンにつけること)の権利は1ターンに1枚。そういうルールですよね。

 

 では、先攻が最速でワザを使うとき、つまり先攻2ターン目にワザを使うシーンでは、手貼りしかしていなくても盤面にあるエネルギーは2枚です。

 

 ワザを使うために必要なエネルギーが多いほど、ワザのダメージや効果が強力になるのは、説明するまでもないことでしょう。

 

 というわけで、「先にワザを使える」のは後攻プレイヤーなのですが、「先に『強力な』ワザを使える」のは、実は先攻プレイヤーなのです。

 あくまで手貼りベースでの話にはなりますが、それはさておいても、攻撃開始前の1ターンを準備に費やせるか、次の相手の番を安全にすごせるかどうかというのは、非常に大きな差です。

 後攻プレイヤーの最初の番は、エネルギー1枚分のワザしか使われないはずですからね。

 

 ピカゼクミラーでの後攻1ターン目フルドライブが非常に強力なのは、先攻2ターン目のフルドライブよりもはやく自分の場のエネルギーが最大6枚になり、「先攻のほうが場のエネルギーが多い」というシステム的制約を乗り越えてしまうからなんですね。

 

「先に進化できるかどうか」

 

 また、「お互いに最初の番は進化できない」というルールの観点から見ても、「先に進化ポケモンを場に出すことができるのは先攻プレイヤー」ですので、その点についても優位性があるといえるでしょう。

 進化ポケモンは総じてたねポケモンよりも強力なワザや特性を持っていることが多いです。進化という手間がかかるぶん、強力な効果を持つようデザインされているからです。

 これを上記の「攻撃開始時の盤面のエネルギーの枚数」と悪魔合体させると、「先攻プレイヤーのほうが先に『強力な』ポケモンで『強力な』ワザを使える」とも言えます。タッグチームGXがたくさんいる現環境ではちょっと極論ぽくなりますが。

 

「先に妨害できる/先に妨害されない」

 

 そして、最後にこれを挙げておきます。

 今の環境でもっともわかりやすい例が、「先攻やぶれかぶれ」や「先攻ジャッジマン」かと思います。

 手札を4枚にされ、なにも引けずに負けてしまう……そんな経験のある方は多いのではないかと思います。

 私もあります。あれは非人道的行為なので国連で禁止にすべきだと思います。

 が、そんな非人道的行為も、自分が先攻をとってしまえば万事解決、相手に先攻ジャッジマンをされることはないので安心です。

 

 また、基本的に相手のデッキに「ジャッジマン」のようなカードが入っているかどうかは、試合が始まってからでないとわからない情報なので、後攻をとって相手に先攻妨害を許すくらいなら、自分で先攻をとって妨害されても大丈夫な盤面を作っていこう……という考え方もあると思います。

 

  • 「ようするに」

 

 ものすごく要約すると、「先攻は先にカードを使える」から、後攻よりも有利になりやすいのです。アホみたいな言い方になりましたが許してください。

 先に盤面にカードを出せるのでボードアドバンテージ面で有利ですし、先に進化できるので強力なポケモンを先に使えますし、先に特性「やぶれかぶれ」で妨害できますし。

 これらは後攻の持つ「先に攻撃できる」という利点よりも魅力的で、だからこそ強豪プレイヤーの多くが先攻を選び、勝利しているのです。

 

 先攻は強い! よーし明日からは全試合先攻とってやるぞ!

 

 と、思った方。

 ほんの少しだけお待ちください。

 

  • 「なんで先攻?」

 

 ゲームシステム的に先攻が強い、という論調でここまで進んできました。

 が、実はポケモンカードゲーム、2013年に大きなルール変更があり、「先攻はワザを使えない」ルールが追加されました。

 

 そうです。

 実は、それまでずっと、先攻もワザを使えていたのです。

 

 スタン落ちがあるとはいえ、時代の変化に伴い、カードパワーのインフレは続いています。

 それにより、先攻1ターン目に相手のポケモンを十分気絶させられるようなワザが増え、ゲームバランスが崩壊したためこのようなルール変更を行ったのだと思います。

 

(余談ですが、それよりもさらに昔、「先攻はサポーター(今でいうサポートのカード)を使えない」というルールがあった時期もありました。

 

 先攻の優位性を崩すためのルールだと思いますが、小さなお子さんにわかりにくかったからか、あるいはもっとほかの理由か、ともかくいまはなくなったルールです。)

 

 先攻がワザを使えなくなっても、基本のゲームシステムである「1ターンに1枚、手札からエネルギーをつけて」「ワザを使って相手のバトルポケモンをきぜつさせ」「サイドをとりきって勝つ」という部分は大きく変わってはいません。

 先述の通り、レギュレーション内で使えるカードが増え、総合的なカードパワーが著しく増加したことによって、ルールの側が変わらざるを得ないような状況にまでなったのだと、そう思います。

 

 さて、私は「ワザとエネルギー」の項目で「ピカゼクミラーは後攻1ターン目にフルドライブするのも強い」と言いました。

 準備のためのターンを必要とせずに、「カプ・コケコ◇」を用いることで1ターン目に雷エネルギーが3枚ついた「ピカチュウ&ゼクロムGX」を用意できるからだと。

 ゲームシステムを超えるカードパワーを持つカードが、いまのスタンダードレギュレーションにはあって、それが一定の例で後攻の利点を強化しています。

 

 カードプール、カードパワー、デッキリスト、プレイング、ゲームプラン……いろいろな要素があり、いろいろなデッキが生み出されている昨今、実のところ、「ゲームシステム的に先攻が有利」だからといって、「後攻をとるという選択肢」が存在しないわけではないのです。

 

 ただ漫然と「じゃんけん勝ったから先攻をとる」のではなく、「いろいろな要素を含んで後攻をとるという選択肢」を一考し、その差を考えたうえで、先攻を選ぶ。

 そっちのほうがなんか強そうでかっこよくないですか?

 

 というわけで、ここまで読んでいただいたみなさんに、ひとつご質問。

 

「なんで先攻?」

 

 ぜひ、考えてみてください。

 

●ロスくま
実家が英会話教室。